情報を得る

アウトラインビューでは、情報を得る(I) コマンドを実行すると、その時選択している内容によって異なる 4 種類のダイアログを生成することができます。1 個の物だけを選択している場合、それが点であれば 点の情報 ダイアログが起動し、参照であれば 参照 ダイアログが起動し、背景画像であれば 画像 ダイアログが起動します。選択されているのがアンカーポイント 1 個だけのときは アンカーポイント ダイアログが起動します。

の情報

ここでは現在の点に関する情報を表示します。基点(B): は、その点自身の置かれた位置を表します。

次の点: は次の制御点の位置と、基準点からのオフセット (および、その位置設定がその点に対するデフォルトかどうか。もしその点が開いたパスの最後に位置する場合は、[]デフォルト ボタンは灰色表示になります) の両方を表示します。その下に表示されているのは、同じ情報を異なる表現——点自体からの距離と、その角度——で表した物です。

前の点: は同じ情報を前の制御点に対して表示します。

これらの値はすべて変更可能で、変更はアウトラインビューに反映されます。可能な変更は、点の型によって制約されています (例えば、曲線の開始点では 角度 フィールドは固定されているので変更できません。

また、FontForge は 2 本のスプラインのそれぞれの側の曲率を表示します。理想上は曲線上の点の場合、これらは同じ値になり、結合箇所は滑らかに見えるでしょう。また、2 つの間の違いも表示します。曲率とは、曲線への接触円の半径の逆数です (直線の曲率は 0 となります。なぜならそれは無限の半径をもつ円となり、その逆数が 0 となるからです)。文字に用いられる曲線のほとんどにおいてはこの曲率は em ユニット表示でかなり大きな値になります (曲率はそれに応じて小さい値となります)。読みやすくするために、FontForge はそれにフォントの em サイズを掛けます——これは、em が (1000 や 2048 ではなくて) 1 になる単位系で表現するのと同じことです。

点が曲線上の点か、角の点、それとも曲線の開始点のどれであるかを変更することもできます。(警告: 角の点を曲線上の点に変換し、また角の点に戻すのは何もしないのと同じではありません)。パス上の前または次の点に移るか、現在の輪郭上の次/前の点に移動することができます。操作をキャンセルすると、すべての点に対するすべての動作が取り消されます。

ラベルの色は、それが参照しているものの色を反映しています。点そのものは赤で表示され、前の制御点はマゼンタ、次の制御点は鈍いシアンで表示されます。

TrueType の補完された点を編集しているときには、制御点を見て、基点が依然補完されるように調整することがより重要となります。どちらの表示法を有効にするかは、◇ 通常(N) または ◇ 補完される点(I) のラジオボタンで切替えます。

◇ 補完される点(I) を押すと、補完される正しい位置まで点が移動されるでしょう。

ヒントマスク

もし、指定された点 (および、この後で、新しいヒントマスクが作成される前に作成されるすべての点) でどのヒントが有効になっているかを制御したいならば、ヒントマスク 画面を使うことができます。これは、現在のグリフ内のすべてのヒントのリストを提供します。その中から、有効にしたいヒントを 1 つ選んでください。

ヒントを選択すると、グリフビューのヒントが暗い色で表示されるので、選択されたヒントを目で確認できます。

丸で囲まれた点は、ヒントマスクがあることを示しています。

Adobe の文書によると、同時に有効となっていて矛盾する 2 つのヒントが含まれることは全く禁じられています。FontForge は、それを行うと警告を発します。残念なことにこのルールに従わないフォント (Adobe が販売しているフォントですら) が実在するので、これをエラーとはせずに警告に止めています。

連続していない複数の要素を選択するときには Control キーを押すことに留意してください。

残念ながらヒントマスクが適用される方向は普通に考える向きとは逆さまです (ヒントマスクは、この点から輪郭上のすべての前の点に対して適用されるのであって、その後の点に対して適用されるのではありません)。

有効なヒント

これはヒントマスクと見た目上同じですが、ここでは何も変更できない点が異なります。現在の点においてどのヒントが現在選択されているかを表示します。点にヒントマスクが設定されているならば、これら 2 つは同一になります。

アンカーポイント情報

このダイアログは選択中のアンカーポイントをアンカークラス、位置、タイプと (合字については) 合字のインデックスを表示します。これらの任意の属性を変更可能です (その変更が筋が通っている場合)。点を新規に作成したり現在ある点を削除したりできます。上で説明した通常の点と同様、グリフ内に存在するアンカーポイントを順次切り替えて表示することができます。

TrueType フォントでは、 TrueType グリフ内の 1 個の輪郭点を保持するためにアンカーを強制することができます。この点はその後 TrueType 命令によって現在のラスタライズ処理に適したグリッド合わせ操作を行うことができます。

アンカーポイントは 点(P)アンカーを追加(A) コマンドで作成することもできます。

参照の情報

このダイアログは選択された参照の名前、そのフォント内でのコード位置と PostScript 変換行列を表示します。必要ならば変換行列を変更することもできます。

変換行列はグリフ内の点を、参照されているグリフでの元の位置から、現在のグリフ上の位置に変換します:
    xcurrent = TM[1,1]*xref + TM[2,1]*yref + TM[3,1]
    ycurrent = TM[1,2]*yref + TM[2,2]*yref + TM[3,2]

[ ]この参照を使用 チェックボックスは TrueType 複合グリフ (例えば a アキュート) のメトリック (幅) が、その構成要素の一つ (例えば a) の幅と等しいことを強制したいときに役立ちます。これは、グリフの幅を変更する可能性のある命令を含んだフォントにおいて特に重要です。

[ ]グリッド単位に丸める チェックボックスは TrueType ヒントでも用いられ、平行移動を参照の点に適用される前に、移動量をラスタライズ時のグリッドに丸める必要があることを表します。その結果、参照の命令によって行われたグリッド合わせが複合グリフでも有効に利用できます。

TrueType フォントでは、参照の位置指定を、基底文字と参照それ自体から 1 個ずつ選んだ 2 個の点を重ね合わせることによって行うことができます。右の例では、参照“acute”は、基底グリフ (その如何を問わず) の点 0 に“acute”の点 2 が重なり合うまで移動されます。この方法の素晴らしいところは、グリフに付随する TrueType 命令が、現在のピクセルサイズにふさわしい位置までそれらの点を移動することができることです。

複合グリフに含まれる点は、最初の要素に含まれる点の個数を数え、それに 4 (ファントム (メトリック) ポイント 4 個分) を加える、次に 2 番目の構成要素の点の個数を数え、4 をくわえ、というようにして番号づけされます。最初の構成要素は最初に描画される要素であり、最初に追加される要素ではありません。基底グリフの番号づけ方式は複合グリフ全体に由来しますが、参照点は現在の参照により番号づけられた物を用います。現在の参照は基底文字の後に描画しなければなりません。参照の並び順はエレメント(L)順序を使って変更することができます。

(おそらく、点の重ね合わせを行う時は、[*]グリッド単位に丸める をチェックしておくべきでしょう)

[表示(S)] ボタンを押すと、参照されているグリフのアウトラインビューを開きます。

画像情報

このダイアログは、画像の左下隅のオフセットと、画像に適用された拡大/縮小率を表示します。現在のところ、ここでは何も編集できません。単に情報提供の役にしか立ちません。

参照:

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